ART出生児の発育・発達に関する研究結果(その一)

結果

出生体重・身長

出生時および1歳6ヶ月時における身体発育(体重、身長)出生体重・身長

出生時および1歳6ヶ月時における身体発育(体重、身長)出生体重・身長

生まれた時点では、凍結胚移植で生まれた体外受精児は、自然妊娠児※1に比べて約70g体重が大きいことがわかります(統計学的に調べても明らかな差、すなわち有意差があります※2)。これに対して体外受精以外の不妊治療や、新鮮胚移植で生まれた体外受精による児では、体重は自然妊娠児と差がありません。これまでの他の研究でも、自然妊娠より体外受精で生まれた子ども、体外受精で生まれた子どもの中でも特に凍結胚移植で生まれた子どもの出生体重が重いといわれています。また身長については、自然妊娠児に比べ、新鮮胚移植、凍結胚移植で生まれた体外受精児では、身長が高いことがわかります(有意差あり)。

このように、生まれた時には背が高く、やや体重が重い体外受精で生まれた子どもたちですが、1年6ヶ月たつと身長も体重も自然妊娠で生まれた子どもとその差はなくなります。これもやはり、1年以上たつと体外受精で生まれた子どもとそうでない子どもで、身長・体重に差がなくなるという、これまで言われていたことと同じ結果になりました。また表には示してありませんが、1歳6ヶ月時点では太り気味・やせ気味の指標となるBMIという指標も4群の間に差がなく、体外受精児が太り気味であるとか、やせ気味であるとかもないようです。

※1: 3%程度の確率で体外受精由来の子どもが交じっていると考えられますが、統計学的には無視してよい数で、結果には影響しないと考えられます。

※2: 統計では100%、こうだ、と言い切れることはまずありません。
たとえば「体重に差がある」といったとき、実際には差がないのに間違ったことを言ってしまうことがあるのですが、統計ではその危険性がどのくらい大きいのかを「p値」という値で表します。なおpは確率(probability)の略です。
たとえば表1で、「p値<0.05を有意差有りとした」とあるのは、たとえば「体重に差がある」といったことが間違っている危険性は0.05より小さい、つまり5%以下ということを表しています。添付の表では、有意差のあった項目を、黄色で強調して表してあります。

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